前回の記事では、 ラブホにおける外国人観光客の脅威について言及しました。
私自身の語学力がゼロだったために、絶望をシャウトする記事として偏りがちだったのですが、今回は私が実際にラブホテルへ来店された外国人観光客をどのように対応していたかなど、希望を持てる内容を書いていきたいと思います。
諦めたら試合終了です!
必殺!ジェスチャーとメモ書き
さて、初っ端から不安に駆られた、そこのあなた。大丈夫です。
「これを筆頭に書き始めるのって、絶望じゃん」と思いながらも、一応は手段のひとつとして触れているだけです。他にも手段はあるので大丈夫です!(余計に不安感をあおる「大丈夫です」の多用)
まずは外国人のお客様がいらっしゃったら、宿泊か休憩か、英単語をメモに書いて見せ、指差していただきます。
「Stay?」 「Rest?」
次に、それぞれのチェックアウト時間や必要な説明を、ネットで調べて紙に書いて見せます。
「Check -out time is 12 o’clock tomorrow.」などなど。
了承を得たら、料金も同様に紙に書いて見せ、お支払いただきます。部屋に行かれる際に、説明を書いたメモごとお渡ししましょう。
ちなみに、ここで「外国から来ているんだから、宿泊に決まっているだろう」と話を進めてはいけません。
私が働いていたホテルでは、精算時に日本語を一切発しなかったにも関わらずサービスタイムで入室後、ちゃっかりとデリバリーヘルスまで利用した外国人のお客さんがいました。
デリヘル嬢の方が平然とお部屋に入って、数時間後に出て行かれたのですが、語学力抜群の方だったのかもしれません(?)ヘッドハンティングしたい気分でした。
それとも、お客さんはデリバリーヘルス関係者に対しては日本語が堪能になる、という特殊能力の持ち主だったんでしょうか。このサイコ野郎め。
外国人のデリヘル嬢さんという訳でもなかったので、私の中で永遠のミステリーです……。
翻訳アプリの使用
翻訳アプリというとたくさんの種類がありますが、私が実際に業務で使っていたのはGoogle翻訳アプリ。
以前、ホテルにいらっしゃった外国人のお客さんが、あまりのコミュニケーションの取れなさに笑いながら、ご自分の端末でこちらのアプリを使って会話を試みてくださったことがありました。
天下のグーグルというだけあって、外国のお客様にも知名度が高いアプリなのかもしれません。使わない手はないでしょう。
上記アプリは、私にとって正義の味方であり、神の化身です。
救世主メシアとはこのことでした。お布施はあげてませんけど、崇めていました。(無料アプリなので安心!)
まずはアプリ画面内で訳したい日本文を入力、もしくはアプリ内にてマイクを起動して日本語を喋ると、簡潔に英訳してくれます。
「チェックアウト時間はお昼12時です」=「Check out time is 12:00 noon」といった感じ。
翻訳履歴も残りますし、訳した後に音声ボタンを押せば、英文をそのまま読み上げてくれる優れもの。
事前に説明したい言葉を調べておいて、いつでも対応できるように履歴に残しておくのもいいですね。
そして外国人観光客の方が来たら、これが目に入らぬか、とお見せするのです。
多少はめちゃくちゃな英文になっていたとしても、英単語のひとつも思い浮かばない丸腰でジェスチャーに命を懸けるより断然マシです!
電話通訳サービスの利用
話せないなら話してもらえばいいじゃない! ということです。マリー・アントワネットもビックリの開き直りをかましていきましょう。
私が勤務していたホテルで実際に採用していたのが、都道府県の提供する電話通訳サービス。
勤務当初は、外国人観光客のお客さんを意識したサービスを一切想定していないような状態だったのですが、私が責任者の方に泣き言を言って掛け合って新たに導入していただいたのが、こちらのシステムでした。
代表的な例として、東京都と京都府の関連ページを貼っておきます。
京都市:外国人観光客宿泊施設向け 24時間多言語コールセンター事業への滋賀県の参画について
国が外国人観光客の呼び込みのために推進している計画なので、なんとなんと、申し込みすれば契約料は無料。
通話料さえ支払えば、電話1本でお客さんの対応やサービス内容の説明などを、一時的に委託することができます。
お客さんがいらっしゃったら、専用のテキストで使用言語を選んでいただき、コールセンターに電話をかけます。あとは、お客さんに受話器をお渡ししてサービス内容の説明や、問い合わせの対応をお願いすればOK。
お役所のみなさん、バンザイ。これで玉音放送と共に膝を折らなくて済みました。
だが、しかしです。
このお役所推奨のサービス、よくよく読んでみると盲点が見えてきます。
東京都のものを例にすると「※1.宿泊施設、2.飲食店とも、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律第2条第6項に掲げる「店舗型性風俗特殊営業」を行っている施設及びこれに類する施設は除く。」とあります。
つまり、ラブホテルとして国に届け出を出している、由緒正しき純ラブホテルは「店舗型性風俗特殊営業」にあたるため、こちらのサービスは対象外とされてしまうんです。
では、どうして私のホテルでは導入が認められたか。
以前の記事でも触れましたが、私が勤めていたホテルはラブホテルとしての届け出はしていないものの、サービス内容は丸っきりラブホテル、というグレーゾーンなビジネスホテルだったため、法律上は店舗型性風俗特殊営業にあたりません。
そのため、このような国の提供するシステムを導入することができた訳です。世の中、ずるい奴が勝つ。
いかがわしいホテルは、例えニーズがあっても救いの手を差し伸べてもらえない模様です。
なんてむごたらしい仕打ち。公務員や政治家の方だって、ラブホテルくらい使ったことあるでしょう! 恩知らずか!
口汚い言いがかりは置いておくとして、
私達の「美しい国、日本(笑)」からのサポートがいただけないとなると、残された手段は、民間の電話通訳サービスになります。
こちらも、都道府県の提供する電話通訳サービスと同じく、電話1本あればOK!
ただし、料金は契約後の月額一括で支払うタイプや、通話回数によって変動するなど、契約内容が様々です。
働きたいラブホテルごとに、支配人の方に相談してみるのもひとつの手段ですね。
外国人観光客の多そうな都心のラブホテルを狙っている方は、電話通訳サービスを導入しているかどうか、事前に聞いてみるのもいいかもしれません。
そんなの面倒臭い! という人のために
私が働いていた店舗のように、ラブホテルであってラブホテルでないグレーゾーンなホテルなら、都道府県の提供する格安の電話通訳サービスを導入することができます。そちらの方が経費の削減になりますし、支配人の方もシステム導入のハードルが低いのではないでしょうか。
お国のサービス導入が可能なのかどうか! そこを確かめるためには、勤めたいホテルの店舗が法的にラブホテルなのか、という点をチェックしてみましょう。
- ラブホ街にある
- 一目でラブホとわかる店舗デザイン
- 周囲に広告が出ていない
上記に当てはまれば、大体はラブホテルと見ていいのではないでしょうか。
なお、店舗に直接電話で問い合わせても、店員がラブホテルとグレーゾーンなビジネスホテルの違いを知らない場合は「うちはラブホテルですよ~」なんて説明が返ってきてしまうケースも少なくないんです。
そんなときは、公式サイトやホテルの紹介ページに下記のマークが記述されているかどうか、チェックした方が確実かもしれません。
『18歳未満の者がその営業所に立ち入ってはならない旨のマーク』
正式名称が長過ぎて、どう表現したものか……という感じですが、要するにレンタルビデオ店などの成人コーナーの前にかかっている暖簾のマークとかをイメージして頂けると手っ取り早いと思います。
Webサイト『ハッピーホテル』では、レジャーホテルからラブホテル、私の勤務していたグレーゾーンなビジネスホテルまで、様々なタイプのホテルが掲載されています。
そちらのホテル紹介ページに上記の『18歳未満の者がその営業所に立ち入ってはならない旨のマーク』が記載されていれば、そのお店は、法的にラブホテルの届け出を出しているホテルだと見ていいでしょう。
参考にすると便利です!
そもそも外国人の来ないラブホテルはないの……?
様々な対策案を書いていきましたが。
ここで、どうしても外国人対応に自信がない! という方にオススメのラブホテル選び――もとい、職場選びの秘訣を簡単に挙げていこうと思います。
- 都心のラブホテルを避ける
- 観光地のラブホテルを避ける
上記の2点は鉄則と言えます。場末のラブホテルなら、外国人の方がいらっしゃる頻度が少ないので、必然的に日本人のお客さんが大半を占めることになります。
かといって、高層ビルや繁華街のない田舎情緒溢れる所ならどこでも大丈夫、という訳ではありません。
働きたいホテルの立地周辺に、由緒あるお寺や神社、お城、またはオタクカルチャーの聖地などはありませんか?
それらを目的とした外国人観光客の方も大勢いらっしゃいます。注意してチェックしましょう。
ほどよく片田舎、特に取り柄のなさそうな場末の店舗なら、あの手この手を使って外国語対応を講じる頻度は少なくなるはずです。
ただし。絶対にいらっしゃらないとは言い切れません。そこは宿泊施設に定められた宿命です。ご来店された際には、潔く腹を括り、最善を尽くしましょう!
せっかく日本にいらっしゃったんですから、楽しい旅行ライフをお過ごしいただきたい限りです。
おわりに
2020年に、東京オリンピックが開催されることも影響しているのでしょうか。
日本に訪れる外国人観光客の数は、うなぎ登り。需要の増加に伴って、働いてみたいラブホテルや導入するツールを考慮していけるといいかもしれませんね。
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